守護から共闘へ

ゴルディアスのイベント後までの本編ネタバレあり。ゲオルグと王子の話。

長い単独任務を終え、ようやくゲオルグは王子たちと共に戦うこととなる。ニルバ島へ共に訪れた日が、はるかに遠い昔のように思えた。
今はドワーフキャンプにそれぞれが滞在している。準備が整い次第、本拠地奪還のために動くとルクレティアが話していた。戦いの前に身体を休ませようと思うが、どうにも落ち着かない。長い野宿生活が続いたせいだ。身体を横たえて就寝することに違和感が拭えない。
(少しずつ、慣れていけばいいだろう)
自分に言い聞かせ、ゲオルグは現状を受け入れる。少しだけ風に当たろうと外に出ると、視線の先に王子がいた。こちらに気づき、歩み寄ってくる。
「どうした? 眠れんのか?」
「ゲオルグも?」
「あぁ。屋内がどうにも、落ち着かなくてな」
「そっか。ずっと、一人で行動してたからだよね」
心優しい少年は、ゲオルグにばかり負担を背負わせたと考えていると察した。罪悪感が大きく育たない内に、話を逸らすべきだろう。
「せっかくだ。少しだけ話すか?」
「うん」
王子が滞在するテント前まで移動し、互いに腰を下ろした。
「ダメだよね。一応、リーダーなのに。どうしても不安で、今みたいに眠れないことがあるんだ」
「だが、おまえはよくやっている。ここに集う奴らを見れば、明らかだ」
「ありがとう」
素直な返答を微笑ましく思い、ゲオルグは笑う。王子は穏やかな雰囲気のまま、ゲオルグとの会話を楽しんでいるように見えた。太陽宮が襲撃されたあの夜の真相を知っても、彼は自分と今まで通り接してくれている。ゴルディアスで再会した時は、最初こそ動揺を見せていた。しかしそれは一瞬で、その後はゲオルグの帰還を喜ぶに留まっている。
「自信を持て。今までだって、やってこれたんだろう?」
「みんなのおかげだよ。本当は、いつ心が折れてもおかしくなかった」
「あぁ、そうだな。これまで、あまりに多くのことが起こり過ぎた」
王子の心の負担には、ゲオルグも大きく絡んでいると自覚する。どれだけ心配をかけて、苦しめたか。想像を絶するほどに、彼を悩ませただろう。
「でも、ぼくは少しも恨んでないよ。みんなと何度も話して、気持ちを固められたんだ。ゲオルグも、叔母さんも、今はまだ話せないだけで、きっと大切な事情があるって」
「……立派だな」
「え?」
気づけば言葉となっていた。王子は驚いた様子でゲオルグを見ている。
「そんなおまえだからこそ、集う者たちがいるんだ」
ゲオルグが王子の背中を押すより先に、彼は納得できる答えを見つけた。本人に言えば謙遜するだろうが、この戦いの中で王子はとても強くなったと思える。
(おまえになら、俺の命を預けられる)
改めて実感した思いを胸に、最後まで彼と共に戦おうと誓う。
フェリドとアルシュタートに託されたという理由はもちろんだが、何より自分の意思でゲオルグはここにいた。