2019スパコミ 新刊サンプル

*R-18 18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さいますようよろしくお願いいたします。
ゲオカイ。本編序盤から女王親征後の時期。二人が互いを食えない相手だと思いながらも、それぞれを次第に深く意識していく話。

冒頭とR-18場面をそれぞれ一部抜粋。

異国からやって来る恩人の旧友について、カイルは興味を抱く。当人も後に女王騎士として自分たちと共に王家を護るという、騎士長閣下フェリドの考えも快く思っていた。これらは全て、表向きの感情だ。周囲にはあたかもそれが本心であるように振る舞う。フェリドの旧友であるらしいゲオルグの存在を、内心は面白く思っていなかった。
 ただの義勇兵だった自分を拾ってくれた彼への忠誠を忘れたわけではない。しかし、それとこれとは話が違うと思う。自分でも不思議と感じる。あの男、ゲオルグと関われば関わるほどに彼を不快だと考えてしまう。つかみどころが一切ない振る舞いが要因だろうと、後に理由を見つけられた。これは同族嫌悪の類かもしれない。
 フェリドの友人とはいえ、内心はそこまで何の関心も持っていないはずだったのに。自分以上に王族へ対する軽々しい言葉遣いや態度を腹立たしく思い始めた。人は人、自分は自分。例え他者がどんな相手だろうと、こちらには関係ない。 そうして割り切るのが常だった。なのに、このような心境に陥るとは思ってもみなかった。自分もアレニアほどではないが、余所者の存在は快く思えないと無意識の内に抱いていたのかもしれない。それが例え、フェリドの友人であっても例外ではなかった。
 秘めた私情はさておき、フェリドの提案でゲオルグとの協力攻撃を後に習得する。もしもの時に備えていつでも使えるようにと、彼の言葉は守ろうと心から思う。自分がすべき事はそれだけであって、必要以上にあの男と親しくしなくてもいいはずだ。とはいえ、内心はそのように思いながらも表向きは彼に対して友好的な態度でいた。こちらが相手を快く思っていないと悟られるのは不本意だったからだ。よって、当たり障りなく接し続けたが。
「無理はしなくていい」
 胸中を悟られない自信はあった。しかし、ある日の手合わせ後に言われてしまう。一体何処で間違えたのか。あの男が長けているのは剣の腕だけではなかったと思い知る。
「ひどいなー。オレがイヤイヤ、あなたと関わっていると思ったんですか?」
 動揺を読まれないよう、細心の注意を払いながら平然を装う。片隅で何度考えても、感情の綻びを見せた瞬間は身に覚えがない。王族同様、名を呼び捨てにもさせた。自分はこの男と表向きは良好な関係を保てている。そうとばかり思えていたのに。
「違ったのか?」
 ゲオルグはカイルを気遣ってくれているからこそ、あのような言葉をかけた。この男の表情からはそうとしか考えられない。しかしそれが全て本心とは限らない。あまりにも楽観し過ぎだと思う故だ。柔らかな表情を浮かべ、穏やかな声音で語るその腹の底では何を考えているのか。彼の心遣いは正直、不愉快と思う。
「あなたのご想像にお任せしまーす」
 片隅での考えを絶対に悟られないようにと、満面の笑みを見せて言う。
「きっと、女性好きなオレが休憩中もあなたと一緒にいようとしているから……気を遣ってくれているんでしょう?」
 相手が何かを言おうとしているが、口を挟ませないようにと言葉を続ける。
「同じ女王騎士として、オレは穏便でいたいだけです。あなたとは仲良くしておかないと、オレも余所者は気に食わない。なんて誤解されかねないしー。これ、決して義務的にしてるわけじゃありませんから、安心して下さいねー」
 嘘と真を織り交ぜた。確かに内心は余所者であるこの男を快く思っていないが、フェリドの命には従いたい。思いを言葉にして気持ちを整理した。悔しいが、彼の実力は本物だ。必ずや恩人の助けとなる。そんなゲオルグとは揉め事を起こしたくない。気に食わない相手ではあるが、立てるべきだろう。
「立派な考えだな」
 嫌味とも受け取れる言葉だと感じた。しかし、この男はそんなつもりで言ったわけではないと察する。引き続きこちらを気遣おうとしてくれているのだろう。その優しさについて、内心で腹を立てる。冷静を欠いてしまうのは得策ではないので、早々に切り替えてしまおうと考えた。同時に、これ以上相手に遅れをとられてはいけないと強く思う。少し、この男について探りを入れる必要がありそうだ。笑顔の裏で考えていた。

その手合わせ後から更に数日後。カイルはゲオルグの自室に忍び込んでいた。今の時間はあの男が王子と手合わせ中で、部屋を空けていると把握しての行動だ。女王騎士見習い時代の経験を活かし、窓から侵入した。昔はこうしてよく王子やリオンを驚かせていたものだ。過去の出来事に少々思いを馳せながら彼の部屋の中央まで歩みを進める。周囲を見回し、清潔感のある部屋だと印象を受けた。彼の真面目さを思わせる。
 ここまで来たはいいが、手掛かりに繋がるような物品や痕跡は見当たらない。直感に従って起こした行動は空振りで終わったと判断した。ここから立ち去ろうとしたところで、扉付近から何者かの気配を感じる。帰って来たのか。思ったよりも遙かに早い。慌てず冷静に対処しなくては。今、窓から脱出を試みようとすれば物音で気付かれかねない。察しのいいあの男に気付かれない慎重な脱出が出来る時間は残されていない。瞬時の判断で、カイルは衣装棚の中へ身を潜めようと決める。何が悲しくて男の衣類に紛れなくてはいけないのか。ゲオルグが女性であれば喜んでいたかもしれない。そんな考えはすぐに割り切る。間もなくして部屋の鍵が開けられる音が聞こえ、部屋の主が戻って来た。と、思いきや。気配が一つでない事に気付く。
「悪かったな。手合わせを早めに切り上げさせてしまって。どうしても、おまえさんに訊いておきたかった話があってな」
 それが何者なのか、彼が声を発してすぐに理解した。フェリドがゲオルグと共にいる。何故かと疑問を浮かべつつ、動揺と高揚が表に出ないよう感情と気配を引き続き殺す。何やら二人だけの秘めた話があるようだ。

予想だにしない出来事に直感は空振りと抱いた思いを撤回する。つかみどころを見せない彼の片鱗に触れられるかもしれない。
 それにしても、この衣装棚が大きくて助かった。と、唐突に思う。自分の部屋や王子の部屋に備えつけられているものと同じ造りのそれを使って遊んでいた頃を思い出し、再び女王騎士見習いだった自分に少々思いを馳せる。幼かった頃の王子やリオンと三人で身を潜めて、こんなに大きいならそれぞれ背丈が伸びても変わらず隠れられそうだと当時の彼が語っていた。当時の無邪気な姿は今でも鮮明に思い出せる。 愛しい思い出は心根を穏やかにしてくれた。その心持ちのまま、カイルは今後について考える。手合わせを終えて来た様子からして、遅かれ早かれゲオルグに見つかってしまう。夜も遅いので、今から何処かへ出掛ける可能性は低い。 もしも部屋から出ていってくれるのであれば、それは好都合だ。その後で彼を密かに追って動向を探ろうとも思う。ここで見つかってしまった場合についても既に考えている。ゲオルグの驚く顔が見てみたかったと軽口を叩くまでだ。彼と親睦を深めたい故と装う自信はある。日頃から振舞っているようにすればいい。自分は恩人の友人に興味を持ち、気になっているのだと言い聞かせる。
「で? 騎士長閣下殿が、新入りに何の用があるんだ?」
「いや。これは友人の一人としての疑問だ」
「何だ?」
「いつまでそれをつけているつもりなのか、気になってな」
 それとは一体、何を指しているのか。更に話を聞いてみなくてはと、注意深く耳を傾ける。
「その傷は、とうに治ったはずだ」
 続けて語られ、彼の眼帯についての話だと考えた。その声音からフェリドが苦笑している様子も想像出来る。
「人に見せられんほどの傷跡が残ってしまったのか?」
 たった今、耳にした言葉から仮定は確信に変わった。

――――――

その場限りの状況を楽しむ。相手も同じ気持ちだとは思うが、それにしては多大な愛情が垂れ流しにされている。カイルを試しているのか、無自覚なのか。こちらもまた、現状を楽しむというには少々行き過ぎている。同性との行為が慣れているわけではないのに、己にここまでさせるとは。それほどまでに彼自身に魅力があるのかもしれない。不思議な男だ。存分に感じてくれている表情がたまらなく嬉しい。もっと感じさせようと痙攣を続ける性器をくわえ続け、今ではすぐに達してしまいそうなほどに張り詰めさせた。やや眉を寄せて深く息を吐く様子に見惚れる。そろそろ限界が近いのか、ここで初めてゲオルグがカイルを引き剥がそうと明確に動く。頭を両手で捕まれ、その力強さに怯みそうになりながらも抵抗する。
このまま口内に出してしまって構わない。ここまで来て遠慮する必要は無いのだという一心で彼を追い詰める。だが、力は相手の方が上だった。こちらの思い通りにはいかずに口から性器が引き抜かれてしまう。その直後、吐き出されたそれが顔にかかる。生暖かさを感じ、独特の匂いが鼻につく。それでも気は削げないどころか、より情欲を煽られた。
「こういう趣味なんですねー……」
 事故だとわかっていながら、あえて言う。何かしら否定の言葉があると思いきや、ゲオルグは口を閉ざしている。この結果は相手にとって満更ではないようだ。そんな彼を自分と同じく更に煽ろうと、顔についた精液を見せつけるように指ですくって舐める。当然それは不味いが、相手のばつが悪そうな顔を見て優越感に浸れた。夢中でいたせいで隙をつかれ、やや強引に組み敷かれる。完全に油断しきっていたが、これといって都合が悪いわけではない。両脚を開かれて半勃ちの性器を曝されても心境は変わらずにいる。むしろ、興奮した。
「あなたのをくわえていたら、こんなになっちゃいましたー……」
 恥ずかしげもなく言ってみせると、彼が笑みを浮かべる。肉欲を思わせる表情だ。いい顔をしていると内心で呟く。
「ね、すごいでしょー……? 触ってもないもに……っ、ん」
 先走りをそこに塗りつけ、音を立てて自らの片手で擦った直後。その手を取られ、くわえられた。口内の指にゲオルグの熱い舌が絡む。行為はそれだけに留まらず、空いていた手がカイルの自身を擦り始めた。緩やかな愛撫は少々の物足りなさを感じさせる。
 優しさを思わせる舌と指先ではあるが、ゲオルグの表情はそれまで以上に余裕を持ち合わせているようには思えない。鋭い視線に射抜かれそうだ。本能と理性がこの男の中でせめぎ合っているのだろう。普段の彼からは全くかけ離れた様子に、ますます優越感を抱かずにはいられない。
 やがて本能が理性を食らおうとしているのか、相手の動きが少しずつ荒々しいものへと変わった。自らの身体が悦んでいる現状に少々戸惑いつつも、それすら受け入れる。
「んっ……」
ゲオルグの唇がカイルの唇に深く重ねられた。つい先ほどまで性器をくわえて精液を舐めとったこちらの唇と舌を、躊躇いなく貪られる。自らも相手に応えようと、舌を絡めた。激しく口内を犯しあっている最中、性器の裏に何かが押し当てられて擦られる。彼のそれだとすぐにわかった。達したはずのものは再び硬くなり始めている。先端がそこを滑るたび、下腹部全体に甘い痺れが走った。
「っ、ぁ……ん、ぁ」
 口づけの合間にあげた声は自分の音とは信じられないほどに高い。女のようだと我ながら思い、これは相手の気を削いでしまったかもしれないと感じたが。唇を離した彼の表情からは、そのような気配は見受けられない。愛おしいと言わんばかりに両の指で頰を撫でられ、熱い掌に包まれた。
「カイル……抱きたい……」
「っ……」
 乞うような様子にカイルは今までにないほど心を乱される。何をされるかわからないわけではない。当初から覚悟していた。いざ口にされれば多少は戸惑うとも思ったが、実際は現状を望んで受け入れようとしている自分がいる。全てはこの男が余裕の無い様子で縋るように言っているからだ。と、またしても全て相手のせいにした。多少の心苦しさはあったものの、熱に浮かされた頭ではそれが妥当と考える。
「いいですよー……」
 今この瞬間、ゲオルグのものになってしまっていいと心から思う。
 簡潔に肯定したというのに、彼は何を言われたのか理解していないようだ。無表情のまま固まっている様子は何処かおかしく、カイルの心を和ませる。きっとこの男は動揺しているのだろう。断られると想像していたに違いない。
「言っときますけど。あなたの聞き間違いではありません」
 相手を安心させようと、こちらからも相手の両頰に触れながら囁く。
「そうか……」
 浮かべた苦笑は何を意味しているのだろうか。真意を探ろうにもこの状態では的外れな仮定をしてしまうので捨て置く。納得した様子のゲオルグは、それまで以上にカイルの両足を開いてそこに身体をねじ込ませる。強引に感じるのも理性が失われている故と思えば悪い気はしない。
彼の指に後孔を撫でられ、本当にこの男に抱かれるのだと改めて実感する。とはいえ、噂には聞いていたが本当にそこを使うのかと他人事のように考える。全く恐れはないと言えば嘘になるが、この男なら身を委ねても構わない。
「辛かったら、すぐに言え」
「はーい……」
 こちらの様子を窺うように撫でているのみだった指が浅く埋められた。最初は今までに無い不快感に苛まれる。身体の内を触れられるという初めての感覚は今ならまだ引き返せるかもしれないと思わせた。しかし、ここまできて撤回などしてたまるものか。意地は恐れを上書きしてくれる。
「平気か……?」
「ん、まだ……大丈夫、です」
 呼吸が途切れないよう心掛けるが、慣れない状況のため息を詰まらせてしまう。その都度ゲオルグは動きを止め、カイルを気遣う。異性を抱くわけではないのだから、そこまでこちらを案じる必要はない。言葉の通り自分はまだ大丈夫ではあるが、相手はどうなのだろう。疑問に思い、相手の性器に目をやる。それまでよりも大きさを増していて、先走りを溢れさせていた。
(早く、挿入れたいんだ……オレの、中に……)
 息を深く吐き、指を増やしてそれまで以上に慎重になってくれている彼を気持ちよくさせてやりたい。ふと、そんな思いが芽生えた矢先。この男の指がある一点を押した時だった。
「あっ……!」
 それまで以上に高い声が自分の口から漏れ、ただその場所を押されただけだというのに全身が悦び震える。
「ここだな?」
「ぁ、あ……っ」
 そこを緩やかに撫でながら耳元で囁かれた。その声も指先も、このうえなく優しい。相手から与えられる全てが快感の要因となっている。
「あぁ、っ……ん、っぁ」
 心から感じていると伝えるため、本能のまま声をあげればゲオルグは嬉しそうに微笑んでくれた。もっと喜ばせたい。それだけではなく、自分と同じく気持ち良くなって欲しいとカイルは思う。
身を委ねてしまいたい悦楽に耐えようと、何とかゲオルグの身体を押して抵抗する。与えられているばかりでは性に合わない。
「どうした……?」
 より話しやすいようにと気遣ってくれたのか、ゲオルグは内に収めていた指を全て引き抜いた。身体を起こし、上を向いていた相手の性器に触れる。
「今のとこ……指じゃなくて、これで擦ってほしい、なー……」
 先端から根本までを指先で焦らすような触れ方をすると、そこは大きく震えて新たに先走りをこぼす。
「……可愛い」
 あまりにもわかりやすい反応に思わず言葉が漏れた。
「まだ、余裕そうだな……?」
苦笑を浮かべて囁くこの男を、ますます可愛らしいと思ってしまう。それも熱に浮かされているせいだと結論づけた。
「そう見えますー? だったら、嬉しいなー……」
「あぁ。俺よりも上手なおまえに翻弄されている気分だ……」
 カイルの後孔に性器があてられる。翻弄されているのは、こちらも同じだ。それは胸中にて呟き、言葉にはしない。
 まだ内には挿入れず、溢れる液を塗りつけられるように先端が後孔を滑る。その熱さに目眩を感じた。まるで水面に身体を横たえているようで不安定な感覚だが、嫌だとは思わない。
「早く……っ」
 それどころか現状を喜んでさえいる。今以上の悦楽が知りたくて自ら相手を急かしてしまう。
「無理はしてくれるなよ……?」
「……はい。約束します」
 その言葉の後、ゲオルグは微笑む。自然と頰を撫で合い、唇を重ねる。 恋人の真似事でもしている気分だと感じていると、先ほど指で触れられた場所に待ち望んだそれが押しあてられた。息が止まらないよう気を付け、力を抜こうとする。ゲオルグのものが、少しずつ入ってきた。